スーパーコンピューターを20万円で創るを読み終えました。
天文学研究の最前線で、栄光を手にしたチームの人間ドラマ、そういう本です。あまりにも面白くて、一気に読み上げてしまいました。
その栄光を手にするきっかけとなった、最初のスーパーコンピュータ(GRAPE-1)を、20万円でこの本の著者がほとんど一人で作ったというのには驚きです。
GRAPE-1の性能は、その当時の世界最速スパコンの10分の1の速度だったらしいので、2006年11月時点で考えると、28テラFLOPSのスパコンを20万円で作ったようなもの。PS3を100台継げば25テラFLOPSになるかも知れないけど、PS3代だけでも500万円になるので、20万円というのがどれだけ凄いのか良く分かる。
人間ドラマだけではなくて、実際にスーパーコンピュータを作る上で苦労した点などが取り上げられているので、自分もスパコンを作ってみようという方には、良い参考になるのではないでしょうか。
多体問題とか難しい言葉も、分かりやすく説明されているので、だれにでも読める本として書かれているのだと思います。
著者自身がこのPJTの当事者であり、そうそうたる面々の中で、一人謙虚に周りから一歩引いて行動しているところや、GRAPE-1をほとんど1人で作ったはずなのに、驕りも無く自分自身を客観的に描いている所が、ひじょうに魅力的に感じられます。
前の会社でレコメンデーションエンジン開発に携わっていて、そこでも多体問題と同じような問題に直面しましたが、プログラムでなんとかしました。その時は、スパコンを作ろうという発想は全く出ませんでしたが、この本を読んだ後は、スパコンを作るのも1つの選択肢だな~、と思えるようになりました。
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